せいが保育園の「見守る保育」から、「みんなのみらいをつくる子ども達」を育む保育のヒントを教えてもらいました。

レポート
9/20/2016

私たちは今、2017年4月の「みんなのみらいをつくる保育園」開園に向けて、保育内容や、子ども達との関わりについて頭を悩ませています。私たちが、うんうん唸りながら考えるプロセスが、子ども達が主体の保育を志す人のヒントになるかもしれない! そんな気持ちで、私たちの開園に向けたプロセスをご紹介していきます。今回は、「せいが保育園」の「見守る保育」を勉強させて頂いたのでご紹介します。

▼子どもたちは、どんなみらいを生きるのか。

時代が変わり、社会が変わると、「英語教育!」「プログラミング!」などなど、求められることは変わっていきます。でも、どんなみらいでも、変わらず大切なことがあるはずです。それは一体何でしょうか? 私たちは、可能性に満ち溢れている子どもたちに、今何が出来るでしょうか?

私たちは、子ども達がどんなみらいでも生きていくために、どんな保育をするか、ということを日々考えています。代表理事の駒崎は、みらいについてこんな風に語っています。

これから日本は超少子高齢社会で、課題先進国になる。そんな時に、どんな人が、社会から必要とされるのだろう。 そして思いました。言われたことを言われたようにやる人ではなく、自分の頭で考え、試行錯誤してみることを怖れない人。ルールを守るだけではなく、ルールの意味を問い、新しいルールを創り出そうとする人。社会からどう果実を得ようか考える人ではなく、社会をどう良くできるか、楽しんで考えられる人。 こうした人たちが、僕たちには必要だと思いました。一言で言ったら、「あるべき社会を構想し、その社会の創造に向かって貢献する人」です。平たい言葉を使うと「みんなのみらいをつくる」人です(全文はこちら)。

皆さんは今、どんなみらいを想像していますか? 子どもたちは、そのみらいで、どんな顔をして、どんな話をして、何をしているでしょうか。そして、私たちは今、どんな保育をすべきでしょうか。正直に言うと、私たちはまだ、どんな保育をすべきか、日々模索中です。みらいについても、保育についても、考えれば考える程・・・

‍「うーーーーーーーーーん

こんな感じで日々頭を悩ませています。

「そうだ!!!」

この「みんなのみらいをつくる保育園」の開園にあたって、私たち自身もっと保育について学びを深めて、よりよい保育を行っていきたいと思っています。そこで、世界中にある、素晴らしい保育を行う保育園を見学し、学ばせて頂くことにしました!

今回訪問した園は、「見守る保育」を実践する「せいが保育園」。そこで行われる保育、子どもたちの姿を見学してきました。その様子をご紹介します。

▼「協力すること」が人間の基盤に。せいが保育園で行われる「見守る保育」。

せいが保育園は、高田馬場駅から、徒歩で10分ほど歩いたところにあります。住宅街の中に立地しており、外見はまるで小さな都市のようでした。今回は、藤森園長に理念について伺い、園舎や保育環境などについては、用務を担当されております環境マイスターの西村さんにご説明して頂きました。

‍一番右が西村さん、中央の男性が藤森園長

「せいが保育園」には、その保育をひと目見ようと、全国から多くの保育者が見学に来ます。「せいが保育園」で実践されているのは、「見守る保育」。掲げる保育方法のひとつに「子どもは、多様な大人、子ども同士の体験から、社会を学んでいくこと。」があります。これは、私たちがつくりたい『「みんなのみらいをつくる」ことに自ら参加し 貢献しそして楽しむ心を育む』保育に通じるものがあると感じました。

藤森園長がこのような保育を実践する理由には、人類がどのように生きてきたかにヒントがあると言います。

ヒト族で、ネアンデルタール人は、体格に優れ、運動神経や、道具を作り出す技術にもすぐれていましたが絶滅しました。ホモ・サピエンスだけが生き残ったんです。どうして生き残れたかというと、ホモ・サピエンスだけが「協力する」という基盤を持っていたためだったんです。

ホモ・サピエンスは、ネアンデルタール人が一人では出来ないことを、協力して取り組むことで、乗り越えていったといいます。その姿は、いろんな人と協力し、社会問題に取り組み生きる、みらいの人たちの姿に重なるところがあります。

▼人間とチンパンジーの子育ての違いから学ぶ、保育園の役割

チンパンジーやオランウータンは、子どもが大きくなるまで、親が子育てをしなくてはいけません。人間は子育てを協力して行うために家族をつくり、村をつくってきたのではないのでしょうか。つまり、共同保育です。

村の大人たちといっしょに育てる。そして、村の子どもたちといっしょに成長する。子どもたちを育むシステムも自然と、「いっしょに生きる」を育むシステムになっていたのかもしれません。

‍「せいが保育園」の園舎は、まるでムラのような、奥行きのある園舎。これまで、「おうちのような保育園」を手がけていた私たちは大きなインスピレーションを得ることが出来ました。

そして、藤森園長は保育園の役割について、次のように語ります。

保育園は、お母さんが働くために預かる施設ではないと思っています。せいが保育園では、園内に社会を再現し、社会を学んでもらっています。

▼「感情表現パネル」と「ピーステーブル」

園内を見学していると、「感情表現パネル」というものを見つけました。子どもたちが、今日の気持ちを自分たちで選ぶそうです。私たちも、人と人が助け合うためには、まず自分の気持ちを知り、相手の気持ちに寄り添えるようになる必要があると考えており、それをどのように保育の中に取り入れるかは重要なポイントです。「感情表現パネル」は、自分の気持ちを理解するための方法として、大いに参考になる取り組みでした。

次に目に入ったのは「ピーステーブル」です。子どもたちがケンカをした時には、ここに来て話し合うそうです。自分の気持ちと、相手の気持ちを共存させるためには、ゆっくりと対話することが、とても大切なのではないでしょうか。

ケンカでヒートアップしても、ピーステーブルへ移動する中で落ち着くこともあるそうです。

▼すべての答えは、現場からうまれる。

園内を見学していると、3〜5歳の子どもたちには、先生方が積極的な関わりをしません。その様子に驚き、伺ってみると、「0〜2歳の間に、子どもたち同士で関わるベースをつくり、3〜5歳は子ども達同士の関わりを見守るだけ」とのこと。子どもたちを真剣に見守り、そして行動を受容する姿がとても印象的でした。

藤森園長に、せいが保育園で働く保育士に対する期待を聞いたところ、こんな風に答えてくれました。

社会は一人ひとり役割があって、成り立ちます。保育士には、自分の個性を活かし役割を見出して欲しいとだけ伝えています。

そして、こう付け加えます。

ドイツでは、研究者が現場に入ってきます。私も、現場の人が研究者でなければならないと思っています。 せいが保育園では保育についてこうすべき、と伝えたことはありません。現場の保育士が考え、実践してくれるだけです。

そう力強く語る姿には、現場の保育士に対する強い信頼が見て取れました。「みんなのみらいをつくる保育園」でも、現場から「みんなのみらいをつくる」新しい保育を作っていって欲しいと考えています。保育スーパーバイザーの森永も、「自分でよりよい保育を考えて、グイグイ追求して欲しい」と語っています。

▼「省我」という園名に込められた想いから学んだこと

「せいが保育園」のせいがは論語に由来し、漢字では「省我」と書きます。子どもたちが自分の気持ちとどのように向き合うのか。そして、他者とどのように向き合うのか。その態度こそが、子ども達がみらいで、いっしょに助け合いながら生きるために、とても重要だと確信しました。

社会に対する鋭い洞察と、子どもたちに対する愛情があふれた保育を行っている「せいが保育園」。今回の訪問によって、私たちが育む「みんなのみらいをつくる」子ども達に、どんな保育がぴったりか、少しずつ具体的になってきました。お忙しい中、見学をさせて頂き、本当にありがとうございました!

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